【尾木ママの今日も笑顔で】ネット世界に潜るいじめ 旭川中2自殺の再調査をして(下)

  •  尾木直樹
  •  大津市立中2男子のいじめ自殺を第三者委員として調査した筆者(右端)。報告書の提出後に当時の越直美市長(左端)らと記者会見した=2013年1月
  •  大津中2男子いじめ自殺の第三者委報告書。事件は「いじめ防止対策推進法」制定につながった
  •  亡くなった大津市立中2男子の父親が「いじめ防止対策推進法」の成立後に記者会見=13年6月
  •  いじめ防止対策推進法の施行に伴い、2013年度からインターネットを通じた行為も定義に含まれるようになった

 前回の『いじめが彼女を追い詰めた』では、2021年に北海道・旭川市立中2年の広瀬爽彩(さあや)さん=当時(14)=が凍死した事件について、筆者も参加し、いじめと自殺の因果関係を認めた再調査委員会の報告書(24年9月に市が実名で公表)のポイント等をお伝えしました。

 今回は、2011年10月に大津市でいじめを受けた市立中2年の男子生徒=同(13)=が自殺し、後の「いじめ防止対策推進法」成立(13年)の契機となった大津いじめ事件で第三者調査委員を務めた経験を振り返り、大津、旭川二つの調査委員会の活動を通して見えてきたことや、今後の課題について考えてみたいと思います。

 ▽「第三者」が調べる意味

 大津の事件では、生徒の自殺について学校や市教育委員会が調査しましたが、亡くなった翌月の11年11月に打ち切られ、市教委は「(他の)生徒数人からいじめを受けていた」と発表、自殺との因果関係は認めませんでした。越直美市長(当時)は自身の就任前に行われたこの調査の内容を不十分だとし、12年に第三者による調査委員会を設置、事実を徹底的に明らかにするよう依頼したのです。

 大津の事件における第三者委員は、遺族側か...

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