【尾木ママの今日も笑顔で】デジタル教科書で学力は上がるのか?

  •  尾木直樹
  •  東京都内で講演するスウェーデンのクリステション首相=2024年12月
  •  タブレット端末を利用したデジタル教科書=2017年、東京都文京区
  •  デジタル教科書を使って授業に臨む生徒=2024年2月、茨城県守谷市(画像の一部を加工)
  •  公立小中学校でのデジタル教科書の活用状況

 最近、海外から飛び込んできたニュースには驚かされました。

 これまでIT優先の学校授業を先進的に実施してきたスウェーデンが、紙の教科書や鉛筆を使う時間を増やし、タブレットと共に紙の教科書を配布できるように2024年7月から予算措置まで取り始めたというのです。

 前回は、世界で進む子どもたちの交流サイト(SNS)利用規制について取り上げましたが、今回も急速なデジタル化の中での注目すべき動きについて、立ち止まって考えたいと思います。

 ▽「脱デジタル化」による回帰

 スウェーデンではすでに2006年、日本より20年近くも前から学習用端末の「1人1台」配備が広がり、デジタル教材による授業への切り替えが進んでいました。しかし、22年10月の政権交代で発足したウルフ・クリステション内閣は、教育現場のデジタル化戦略を凍結し、教材選択の裁量を持つ学校や教員に、紙の教科書が基本の授業へ戻るよう求めたのです。これは、教育の「脱デジタル化」による大胆な回帰と言えるのではないでしょうか。

 スウェーデン政府がこのような教育の「脱デジタル化」政策を取り始めた理由の一つとして、IT化による子どもたちの学力低下への懸念が...

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