20年ほど前、筆者が高校生の頃、父がたばこをやめた。理由は日本国内で「1箱300円を超えたから」。当時、消費税やたばこ税の増税で値上がりが続いていた。繰り返される増税と、受動喫煙対策でたばこが吸える場所が減ったことにより、禁煙を心に決めた人は少なくないだろう。
中国国家衛生健康委員会によると、国内の喫煙者は3億人以上いる。一方、北京協和医学院などの研究チームが調べたところ、たばこをやめたいと思っている人は1億人に上るという。全国に先駆けて喫煙規制を進めてきた上海市の場合、2017年に公共施設やオフィスといった屋内施設での喫煙を全面的に禁止し、22年には公共施設で電子たばこの使用も禁じた。その効果もあってか、同市の成人喫煙率は10年以上低下が続いている。
たばこの生産・販売は、中国煙草総公司がほぼ独占的に行っている。たばこ業界が国に納付したのは24年が1兆6000億元(約33兆円)に上り、過去最高。国の財政収入のうち約7%を占めている。
中国のたばこにかけられている税金は、銘柄によって異なるが、1箱につき約50%。税の内訳は消費税65%、増値税24%、付加価値税10%、たばこ税は1%に...