4月28日投開票の衆院3補欠選挙のうち、9人が争った東京15区(江東区)は近年になく話題となった。一部の候補者らによるインターネットも駆使した言動が、人々の耳目を集めたからだ。
選挙運動の在り方の是非や、結果に対する受け止め方はそれぞれだろう。いずれにせよ、選挙というものについて改めて考えるきっかけを与えられたと思う。
選挙は、有権者にとって誰に投票するかの選択を迫られる機会である。候補者の人柄、政党の公認や推薦、それぞれの政策を考慮して、どの名前や党名を投票用紙に書くかを決める。世間の常識としてはそのように考えられているだろう。
しかし、人間の脳の働きから見れば、人々は投票する時に必ずしもその理由を明確に意識しているわけではない。実際には、何となくそう思うとか、直感で選んだ、というようなことで投票行動は決まっている。
もちろん、政策や政党、候補者の人柄といった「本筋」の理由が無関係なわけではない。「なぜ投票したのか」と聞かれれば、多くの人はもっともらしい理屈で答えるに違いない。
だが現実には投票する際、無意識に選んでいる場合も多い。選挙に限らず、一般に人は何かを選択した理由を必ずし...