【小川糸 一筆申し上げます】人にも犬にも優しい ドイツのお国柄

  •  小川糸

 40代半ばの数年間を、ドイツの首都、ベルリンで過ごしました。それまでは、夏だけ通っていたのです。けれど、夏だけいいとこどりするのではなく、それ以外の季節も自分のこの目で見てみたい、という思いが強まり、ベルリンにアパートを借りて暮らしました。その際は、愛犬も一緒に連れて行きました。

 ベルリンの魅力をあげ始めたらキリがないのですが、どこにでも犬を連れて行けたのは、愛犬家にとってそんなにうれしいことはありません。バスも電車も鉄道も、ケージに入れることなく、そして肩身の狭い思いをすることもなく、堂々と犬を連れて乗ることができます。もちろん犬たちも、そういう場所ではほえたりしないよう、きちんと教育がされなくてはなりません。

 さらにうれしいのは、公共交通機関で移動した先でも、多くのレストランやカフェが、犬同伴で入れることでした。これは、本当に幸せなことです。日本とドイツでは多くの相違点がありますが、犬を飼っている私にとって、これはとても大きな違いです。この点に関しては、100%、私はドイツのあり方に軍配を上げます。

 ドイツは概して、人にも犬にもとても優しいお国柄です。人に人権が認められているよう...

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