【茂木健一郎のニュース探求】エイジズムへの疑問 記憶の年輪を素直に比べ合おう

  •  JR東京駅の赤れんが駅舎前に立つ茂木健一郎さん。1914年の開業から12月で110周年となる(撮影・徳丸篤史)
  •  1969年7月、アポロ11号の着陸船(左)から降り、月面に立てた星条旗を見るオルドリン飛行士(NASA提供・共同)
  •  陸上自衛隊市ケ谷駐屯地で演説する三島由紀夫=1970年11月
  •  クレーン車でつり下げた鉄球で破壊される「あさま山荘」=1972年2月、長野県軽井沢町
  •  あさま山荘事件のテレビ中継を見守る人たち=1972年2月、東京・銀座

 最近の日本の風潮でどうかなと感じるのは、年齢で人を決めつけることである。「エイジズム(年齢を理由にした偏見や差別)」は悪いと分かっているだろうに、案外気楽に口にするのを見聞きする。

 とりわけ、若い世代の一部がネットなどで上の世代をあれこれと言うようだ。いろいろな背景があるとはいえ、本当に良くないことだと思う。

 少子高齢化の中、社会保障などで若い世代に負担がかかっているという主張は分かる。だからと言って、世代間対立をあおっても仕方がない。最近の一部の論調には人間的な温かさがなく、私は目にするたびに「ドン引き」してしまう。

 とりわけ、いわゆる「新自由主義」的なものの考え方、言い方と、高齢者の切り捨てのような論調が結びつくのは最悪だと思う。志があって、いろいろと挑戦している若者が目指すべきなのは社会全体に貢献することで、世代間対立をあおって高齢者を否定することではないはずだ。

 若いか老いているかは、その人の固有の属性ではない。若い人もいつかは老いて、老いている人もかつては若かったのだ。つまり、単に時間軸の上での位置がずれているだけの話で、本来みんな平等である。年齢やジェンダー、社会的立場に...

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