広島市郊外に、以前からとても気になっていた「鉄道」があった。全国、いや世界でもここだけというロープウエーとモノレールを掛け合わせたような「スカイレール」である。昨年末で廃止されると報道で知り、知ったときは時遅し、「一度も乗れず残念だったなあ」とやり過ごしていた。ところが代わりの交通手段となるバスの準備が遅れ、スカイレールは今年4月末まで営業が延長されることになった。「これは朗報だ」と思い直し、廃止まで1カ月を切った4月の初め、旅行で関西まで行ったついでに(ついでという距離ではないが)、足を延ばしてきた。
スカイレールは、広島駅からJR山陽線で東に約10キロ走った瀬野駅の北口と、同駅のすぐ北側に広がる高台を開発した大規模な住宅団地「スカイレールタウンみどり坂」(広島市安芸区)の中心とを結ぶ延長1・3キロの乗り物で、通勤、通学など日常生活の足となるべく1998年に開業した。
中間駅が一つあり、全線ほぼ勾配、標高差約160メールを約6分で結ぶ。懸垂式のモノレールのように空中に設けた鋼製の桁に、ゴンドラのような車両がぶらさがる。座席は8席で定員25人。
車両を動かす仕組みがユニークだ。ロープ...