地方自治法の一部を改正する法案の実質的な審議が、衆院総務委員会で始まった。3月に閣議決定され、国会に提出されたのを受けてのことだ。
いま小規模自治体の診療所で働く私は、この改正を懸念している。「個別の法律に規定がなくても、国が自治体に必要な指示を行うことができるとする特例」が盛り込まれているからだ。法案ではその特定が発動されるのは「国民の生命等の保護のために特に必要な場合」つまり非常事態だとされているが、その具体的事例について政府は「現時点で想定しうるものはない」とするにとどまっている。
国の指示権の拡大にもつながる今回の法改正が行われると、国から地方への干渉が強化されないだろうか。現在、小さな町にいる身としては、自治体やその住民が望むことと国の施策とのギャップを感じる場面が多々ある。たとえば私のいる北海道むかわ町には総務省の地域力創造アドバイザー制度によってコンサルタントが中央から派遣されてきたが、その人が中心になって作られた地域再生計画は住民のニーズと大きくかけ離れていた。その後、住民が一致団結してその計画の軌道修正を求め、町もそれに歩調を合わせて現在ようやく住民が求めるプランが...