私の書いた<生きがい>に関する本が、ドイツでベストセラーになっている。現時点で15週連続のペーパーバック部門1位で、驚くとともに喜びを感じる。
もともとは2017年に英語で出版した『IKIGAI』のドイツ語版が、なぜか今年になって反響を呼んだ。先日、ドイツ人ジャーナリストが東京に来てインタビューを受けた。その際、ドイツでなぜ<生きがい>がブームになっているのかを“逆取材”した。
どうやら、ドイツ人が今の自分たちの生き方に不安を抱いていることが背景にあるらしい。環境問題やウクライナでの戦争を通して、将来への希望が持てなくなった。一方で、仕事のストレスもたまっている。明日が見えない中で、日本発の<生きがい>の概念に魅力を感じているようだ。
私がこの本を書こうと思ったのは、1週間足らずのうちに全く別の場所で、外国の方が「イキガイ」という言葉を口にしているのを偶然聞いたのがきっかけだった。米国の作家による著作の中で、世界の長寿エリアの一つとして日本が挙げられ、その秘訣(ひけつ)が<生きがい>であるとされたこともブームの先駆けになったようである。
<生きがい>は、日本語では一つの単語だが、英語...