誰もが「自分のことで精いっぱい」という社会になっていくのだろうか。トランプ氏がアメリカ大統領に返り咲くことになり、考えさせられることは多い。
トランプ氏は選挙戦を通じて、関税と減税を柱とする経済政策や不法移民の排除により米国民の雇用を守る政策を訴え続けた。一方のハリス副大統領は、生活支援と並んで中絶や生殖にかかわる女性の権利を保護するなど、人権に配慮した政策を打ち出した。
もちろん、トランプ氏が選ばれたからといって、有権者は人権問題をないがしろにしていると決めつけることはできない。ただ、この分野ではよく「スタンドアップ・フォア・サムバディ(自分ではない誰かのために立ち上がろう」というスローガンが掲げられるが、実際には「知らない誰かよりまず自分の仕事や生活を何とかしてほしい」と望む人たちも多くいたということなのではないか。トランプ氏の決めぜりふ「アメリカ・ファースト」はその象徴のようにも思われる。
自分のことだけ、自国のことだけ、という人が増えれば、互助や国際協調はあっという間に立ち行かなくなる。とはいえ、まず自分や自国の問題が解決されなければ、とても他人や他国のことなど考えられない、...