「効率」とは何か。なんでも「効率化」すればよいのか。考えなければならない時がやってきた。
トランプ次期アメリカ大統領が人事を次々に発表しているが、選挙戦のさなかに予告していた通り、実業家のイーロン・マスク氏が要職につくことになった。同じく実業家のビベック・ラマスワミ氏との2人で、新たに設けられる「政府効率化省」を率いることが発表されたのだ。同省は政府業務の効率化や支出削減を検討する組織とのことだが、マスク氏はアメリカの連邦予算のおよそ3割にあたる「2兆ドルを削減できる」と発言している。
もちろん、国民の税金などで賄われる行政のムダが削減されるのは好ましいことだ。とはいえ、何が「ムダ」なのか、またどの項目がコストカットされるのにふさわしいのかを決めるのは、それほど簡単なことではない。たとえば日本でもときどき「医療費のムダ」が話題に上るが、そこで必ずと言ってよいほど出てくるのが「高齢者医療費の抑制」だ。
さらにそのための方策として「延命治療の見直し」などが議論されるが、今回の衆院選公示前の与野党7党首討論会では、国民民主党の玉木雄一郎代表が「われわれは高齢者医療、特に終末期医療の見直しに...