中国のシニア世代は元気だ。北京の街角を歩いていてつくづく思う。近所の公園は、朝から晩までダンスや体操を楽しむ女性であふれている。夜には高架下で中国版ポーカー「十三張」にいそしむ男性たち。最近は朝晩の気温が10度以下に冷え込む日もあるが、「寒いなら重ね着すればいい」とばかりに服を着込み、いつも変わらずそこにいる。
「中国のお年寄りは活動的だね」と言うと、中国の30代の友人は「彼らは年金があるから気楽だよ。自分たちの世代の負担はどんどん増えていく」。急速な高齢化で公的年金の確保が課題となっている中国。全国社会保障基金理事会(社保基金会)の武建力副理事長は2月の記者会見で、「基金の収支政策の見直しや新たな年金基金の発展拡大が必要だ」と呼びかけた。来年から法定の退職年齢を引き上げることが背景にある。
北京も高齢化が進む都市の一つだ。60歳以上の戸籍人口は2023年末に初めて市全体の3割を超え、3人に満たない現役世代(15歳から59歳)が高齢者1人を支える構図になった。子育てや両親の介護に自身の老後と、働く現役世代が抱える将来不安は増えていく。活気あるシニアたちの横を通り過ぎる現役世代の足取り...