【わが師円楽 三遊亭楽生#6】師匠円楽は気遣いの鬼 先代円歌に冷えたビール

  •  桂歌丸(前列左から2人目)を囲む、三遊亭円楽(後列右から2人目)ら「笑点」メンバー=2016年5月、東京都千代田区
  • 三遊亭楽生
  • わが師円楽9回続きの(6)

 師匠の六代目三遊亭円楽は「見て覚えろ」とよく言っていた。(9回続きの第6回)

   ×   ×

 師匠は気遣いの鬼でした。特に気難しいと言われる師匠にすごくハマっていました。大師匠の五代目円楽はもとより、立川談志師匠、先代の三遊亭円歌師匠、桂歌丸師匠…。ワタクシにとりましては雲の上の上。口をきくことすらできません。

 2010年、師匠の襲名興行で秋田に行った時のことです。康楽館という大変に風情のある建物。ご一緒した円歌師匠が高座を下りて、師匠が上がります。ワタクシは師匠から密命を受けておりました。円歌師匠にはお茶ではなくビールをグラスに注ぎなさい。

 ビールもグラスも師匠が冷やしておいてくれた物。着替えが終わった円歌師匠にビールを注ぐと「これはあなたのいち了見かい?」。全てお見通しでした。「いえ、師匠から言われました」

 円歌師匠は「そうだよね」とニコッと笑って、あなたの師匠がいかに気が利くか、そしてワタクシの高座のことまでお話を頂きました。

 一門の方から、楽屋でニコニコお話しになる円歌師匠は珍しいと伺いました。師匠が高座から下りてきてあいさつすると、円歌師匠は「ごちそうさま!」。気遣いの神髄...

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