【シネマの花道(6)】シンプルだから伝わる出会いと別れの切なさ

大切な人の幸せを願うということ

  • 映画「ロボット・ドリームズ」(c)2023 Arcadia Motion Pictures S.L., Lokiz Films A.I.E., Noodles Production SARL, Les Films du Worso SARL
  • 映画「ロボット・ドリームズ」(c)2023 Arcadia Motion Pictures S.L., Lokiz Films A.I.E., Noodles Production SARL, Les Films du Worso SARL
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  • 「パスト ライブス/再会」Copyright2022(c)Twenty Years Rights LLC.All Rights Reserved
  • 「パスト ライブス/再会」DVD&Blu-ray発売中、DVD4400円、Blu-ray5500円、販売元・ハピネット・メディアマーケティング Copyright2022(c)Twenty Years Rights LLC.All Rights Reserved

 大抵の物語は出会いと別れでできているのではないだろうか。「男はつらいよ」で寅さんは全国各地でマドンナと出会い、失恋してまた旅に出る。「ローマの休日」でアン王女は新聞記者のジョーとつかの間の恋に落ちる。恋愛映画に限ったことではない。「七人の侍」にしても寄せ集めの侍たちが共に戦い、ある者は命を散らす。誰かと誰かが出会うことで物語は動き始め、一時的にあるいは永遠に別れることでドラマが生まれる。

 スペイン出身のパブロ・ベルヘル監督による長編アニメ「ロボット・ドリームズ」は、1980年代とおぼしき米ニューヨークを舞台に描かれる友情の物語。ただし主人公は人間ではなく、犬とロボット。1匹と1体の出会いと別れは楽しくそして切なく、人生経験を積んだ大人の観客にこそ響くビタースイートな作品となっている。

 犬のドッグはニューヨーク・イーストビレッジで1人暮らしをしている。ゲームをするのも一人、食事もレンチンで一人。窓の外に目をやると、隣のアパートでカップルが仲むつまくテレビを見ている。冒頭わずか数分で見せるドッグの暮らしは、都会の孤独を表して出色だ。テニス型のテレビゲームを右手対左手で遊ぶ姿はいかにも寂し...

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