「よう頑張った」-。大相撲名古屋場所千秋楽で109年ぶりの新入幕優勝など、歴史的な記録に挑む伯桜鵬関=倉吉市出身、宮城野部屋=を応援するパブリックビューイング(PV)が23日、同市明治町の打吹回廊で行われた。惜しくも敗れ、偉業達成はならなかったが、来場者からは「100年に一人の逸材」と鮮烈な幕内デビューを果たした“令和の怪物”を称賛する声が上がった。
会場には100インチの大型モニター2台を設置。優勝の可能性が高まったため、屋外にもモニターを追加して対応した。
熱心なファンは昼過ぎから来場。午後1時半ごろに訪れた同市内の70代男性は「これほどの力士が倉吉にいたとは」と感慨深そうに話し、同市越殿町の主婦、沢村恭子さん(82)は「ここまできたからには絶対優勝して」と必勝を願った。最終的に市民ら約150人が詰めかけ、敢闘、技能両賞の同時受賞が伝わると、会場内は大きな拍手に包まれた。
関脇豊昇龍関との大一番が近づくにつれ、会場内の熱気は上昇。伯桜鵬関が土俵に上がるとしこ名入りタオルと必勝鉢巻きを身に着けた来場者全員が「伯桜鵬コール」。声援むなしく敗戦すると、会場からは「あー」と悲鳴のような声が上がったものの、場所中の歴史的な活躍に惜しみない拍手が送られた。
伯桜鵬関が小学生の頃に相撲を指導した落合関倉吉後援会幹事の竹歳和晃さん(54)は「やり切った」と健闘をたたえ、「倉吉が一体になった。もっと大きなドラマを作ってくれる」と飛躍を確信。幼稚園からの幼なじみ、日野涼太郎さん(20)も「倉吉をこんなに盛り上げてすごい。来場所は絶対優勝してほしい」とエールを送った。
帰省中にPV会場へ駆けつけた東京鳥取県人会の福井宏一郎会長は「彼の活躍は同郷人の励み。来場所は国技館に応援団とともに出向きたい」と会を挙げての応援を明言。前日に名古屋で直接声援を送った倉吉市の広田一恭市長は「今場所を一番盛り上げたのは伯桜鵬。倉吉を全国にアピールしてくれた」と声をからしながら感謝した。
この日、後援会名誉会長に就任した平井伸治知事は「歴代最速の三賞獲得はあっぱれ。琴桜に次ぐ半世紀ぶりの横綱誕生に向け、県民で応援していきたい」と話した。