伝統の手仕事 知って 加納美術館「こうげいやすぎ壱」展 木工芸と織物にスポット

 安来市広瀬町布部の加納美術館で企画展「こうげいやすぎ壱(いち)」が開かれている。民芸運動と関わりの深い安来の工芸のうち、木工芸と織物にスポットを当てた作品約80点が展示されている。5月19日まで。

 もの作りが盛んな安来市では、同市出身の陶芸家・河井寛次郎(1890~1966年)らによる民芸運動の影響が色濃く、伝統の手仕事が継承されている。展示はそうした職人の作品や活動に触れてもらおうと企画された。

 木工芸では、野白国雄さん(故人)と千晴さん親子のケヤキの木目を生かしたテーブルなどの家具や調度品が並ぶ。同館ゆかりの画家・加納莞蕾(かんらい)の書「民藝(みんげい)」を納めた国雄さんの額もある。木片をパズルのように組み合わせた門脇和弘さんの完全球体組子は第一人者ならではの作品で目を引く。

 遠藤小間野さん(同)が始めた安来織は河井の命名。東京で人気を博したネクタイや版画家・棟方志功が下絵を描いた絵絣(がすり)などが並ぶ。島根民芸協会創設者の太田直行の指導を受けた出雲織は、伝統にとらわれないデザインが特徴。天蚕を横糸に湖面のさざ波を表現した着物は、創始者の青戸柚美江さんが紡いだ。

 千葉潮館長は「ものづくりの町の伝統が今も大切に引き継がれていることを知ってほしい」と話し、企画を展開していく予定。

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