「1本18万円くらいですね」。ジャカルタの歯科病院で治療費の概算を聞いたら、こう返ってきた。歯の神経が炎症を起こしているので、根管治療からかぶせ物を作るまで一連の費用がこれほど必要だという。
当地では歯科に限らず、それなりの水準の病院にかかれば医療費が結構かさむ。医療保険に加入していても、歯科はカバーされないことが多い。日本の健康保険制度のありがたみを痛感し、一時帰国して治療を終え、戻った直後だったからこそ、ショックは倍増だ。当地に比べて日本の医療は素晴らしいと思っていたが、運が悪かっただけなのか。どうにもやりきれない。
米コンサルティング大手マーサー傘下のマーサー・マーシュ・ベネフィッツが実施した2023年の医療トレンド調査によると、インドネシアの同年の医療費は前年比13・6%上昇し、アジア地域の平均11・5%を上回った。インドネシアでは医薬品原料の90%、医療機器の88%が毎年輸入されており、これが医療費上昇の大きな要因となっているようだ。
それにしてもこれほど高額な医療費、当地の人たちはどうやって払っているのだろう。医療に限らず、あらゆるモノやサービスの種類と値段はピンからキリ...