【茂木健一郎のニュース探求 】読書の夏、名作に挑んで脳の深層を耕そう

  •  茂木健一郎さん(撮影・徳丸篤史)
  •  フランスの作家マルセル・プルースト(1871~1922年)
  •  プルーストの大作『失われた時を求めて』の漫画版(右手前)と新訳の文庫本
  •  ロシアの作家レフ・トルストイ(1828~1910年)=左と、米国の作家ハーマン・メルビル(1819~91年)
  •  メルビルの代表作『白鯨』の文庫版(上)(下)

 文学の名作の中には、誰もが知っているけれども実はあまり読まれていないものがたくさんある。20世紀最高の小説の一つとも言われるマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』は、その代表的な存在かもしれない。

 長大で難解なこともあって、読破した人はそう多くないだろう。お菓子のマドレーヌを紅茶に浸して口にした主人公が、その香りで幼少時を思い出す有名なシーンは、最初の方に登場する。たいていの人はこの辺りまで読むと、満足してそこで止めてしまう。

 恥ずかしながら、私自身、まだ読了したことのない世界の名作がいくつもある。レフ・トルストイの『戦争と平和』。ハーマン・メルビルの『白鯨』。そして、冒頭に挙げた『失われた時を求めて』。日本の作品でも、さまざまな作家の方による現代語訳が出ている紫式部の『源氏物語』を、最初から最後まで読んだことがない。

 ほんとうに恥ずかしい。

 いよいよ夏本番。普段より時間が取れるという方は、この際、前から読みたかったあの名作、この傑作にチャレンジしてみてはいかがだろう? 晴れ渡った青空の下、すてきな夏休みの過ごし方になると思う。

 私自身、文庫化されたことを一つのきっかけとして、...

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