職場のパワハラは、時として受け手の心身をむしばみ人生を破壊することもある。もう一度、確認しておきたいのが、パワハラの前提にあるのは「受け手が抵抗や拒絶ができない、優越的な関係」ということだ。
兵庫県知事によるパワハラが問題となり、県職員にアンケートが行われた。その中間報告によれば、4割近くの職員が「すぐに怒鳴る」「怒るとバンバン机をたたく」などのパワハラを見聞きしたことがあると答えたという。
「瞬間湯沸かし器」というニックネームがあるとの記載もあったそうだが、問題は単にカーッとなりやすい、感情の制御が苦手というだけではない。別の記載には「待たせると知事の機嫌を損ねるため、知事が来るまでエレベーターを開けておく係が配置された」ともあった。「自分は県庁のトップだ」という優越的な関係を本人も自覚しての言動だった、というのがより深刻だ。
知事は46歳とまだ若いがゆえに、自らの権力をことさらに職員に強調して見せようとしたのかもしれないが、受けた側は恐怖を感じ、尊厳を傷つけられ、結局は業務へのモチベーションも下がってしまったに違いない。
現在、医療現場では、専門的な知識や技術以外の、組織力を向上...