美術好きの人たちのあいだに激震が走った。千葉県佐倉市にある「DIC川村記念美術館」が来年1月から休館すると発表されたのだ。縮小移転を検討するが、閉館も視野に入っているという。
この美術館を所有するのは、化学メーカーのDICだ。同社の創業家が収集した美術品を公開するため、1990年に開館された。モネやピカソなどから現代アメリカの作品まで、貴重な作品が数多く収蔵されていることで知られている。とくに戦後の抽象表現主義を代表するマーク・ロスコの大作7点のみが展示された「ロスコ・ルーム」は、多くの人たちに大きなインパクトを与えてきた。
報道によれば、同社株を多く保有する投資家などから、資産効率の観点から見直しを求める声が上がり、外部に委員会を設立。委員会の助言を取締役会などで議論して、「保有資産が資本効率の面で必ずしも有効活用されていない」と評価し、休館が決まったようだ。
私は以前、あるメーカーが主催する“女性アワード”で選考委員を務めていたことがあった。歴史も定評もある賞だったが、そのメーカーが外資系企業の傘下に入ったとたん、アワードは中止となった。これもやはり「かかるコストに見合っただけの...