毎朝、電車の駅を出ると、入れたてのコーヒーの香りが鼻をくすぐる。カフェには、目覚めの1杯を待ちわびる人々が列をつくる。
マレーシアのコーヒー文化は半世紀以上前からあり、苦みの強いロブスタ種のコーヒー豆を使った「南洋珈琲(コピ)」が好まれてきた。それが1998年に米スターバックスが進出して香り引き立ち、酸味が強いアラビカ種も好まれるようになった。ただ、昨年末からイスラエルのパレスチナ自治区ガザ侵攻を背景に、イスラエルを支援する米欧企業を標的とした不買運動が起き、地場のコーヒーチェーンを求める動きが強まった。
一方、日本の大手商社の丸紅もマレーシアで、カナダの大手コーヒーチェーン「ティム・ホートンズ」の展開に乗り出した。丸紅の出店は、シンガポールに続き2カ国目。拡大する中間層を主なターゲットとし、人口の6割以上を占めるイスラム教徒(ムスリム)向けにハラル(イスラム教の戒律で許されたもの)にも対応するという。
コーヒーを専門とする市場調査会社「ワールド・コーヒー・ポータル」は、マレーシアでは今後3年でコーヒー店が急増すると予測している。どのブランドが人気を博し、どのブランドが消えていくのか...