前回(上)は、日本の性教育が世界に大きく後れを取ってしまった経緯と背景を振り返り、国際的な潮流である包括的性教育(CSE※編注(1))の実施の必要性を示しました。※編注(1)=包括的性教育は英語でComprehensive Sexuality Education、頭文字を取ってCSEと略記
今回(下)は、交流サイト(SNS)時代の性加害・性的いじめの危険性と、CSEの今後の展望について述べたいと思います。
▽ネットが性の教科書に?
若者の性の知識不足や偏りが年々深刻になっています。ある調査によると、2005年から2017年にかけての10年余りの間で、高校生・大学生の性知識の正答率には全体的に低下傾向がみられました。
また、性交(セックス)の知識の入手源に関する質問(複数回答可)で、中学・高校・大学生の男女共にトップは「友人・先輩」となっています。学校での性教育が制限されているがゆえに、友人・先輩やアダルト動画を参考にせざるを得ないのが現状です(いずれも日本性教育協会編『「若者の性」白書~第8回青少年の性行動全国調査報告』2019年、小学館)。
今やスマートフォンで何でも検索できる時代...