【楽しき波乱万丈 浜木綿子聞き書き#7】花束より演技に心打たれ 三代目市川猿之助と結婚

  •  後列右から反時計回りに浜木綿子、三代目市川猿之助、弟で後の四代目市川段四郎、浜の妹、高杉早苗(猿之助らの母)、浜の母=1965年12月ごろ、東京都内の浜の自宅
  • 浜木綿子=東京都千代田区の帝国劇場
  • 10回続きの(7)

 舞台、映像で約70年にわたり、主演し続けてきた俳優・浜木綿子。開場から舞台に立つ東京・日比谷の2代目帝国劇場は建て替えのため2月末に幕を閉じた。浜の航跡を人との出会いを軸にたどる。

   ×   ×  

 浜木綿子が、三代目市川団子(三代目猿之助、二代目猿翁)と出会ったのは、1961年9月に東京宝塚劇場で上演された、菊田一夫作のミュージカル「香港」であった。

 商社勤務で香港を訪れた団子演じる日本人男性と恋に落ちる中国人女性役。団子は歌唱に苦労し、作曲の古関裕而から繰り返し稽古を受けていた。

 「とても優しい歌なので、余計に目立つんですね。なんでこの方がミュージカルをなさるんだろう、と思いましたが、菊田先生は『立派な人だから大丈夫だ』とおっしゃるんですよ」

 同時に団子からの激しいアプローチが始まった。食事に誘われ、花束も渡された。自宅への電話攻勢に、「妹から『お姉さん、もう居留守を使わないで』と言われました。申し訳なくは感じましたが、それでもあまり気持ちは動きませんでしたね」。

 公演中に団子から「見に来てください」と翌月の歌舞伎座の切符を渡された。団子の役は「仮名手本忠臣蔵 山科閑居」の大星...

残り 362 文字
このページは会員限定コンテンツです。
会員登録すると続きをご覧いただけます。
無料会員に登録する
会員プランを見る
会員登録済みの方
この機能はプレミアム会員限定です。
クリップした記事でチェック!
あなただけのクリップした記事が作れます。
プレミアム会員に登録する ログインの方はこちら

トップニュース

同じカテゴリーの記事